相続人とはなにか、誰が相続人になるのかについて知りたい、それぞれの相続人にどのような順位でどのように相続分が定められているのかについて知りたい、代襲相続とはなにかについて知りたい、相続権がなくなるケースについて知りたい、養子は相続人になることができるのかについて知りたい、・・・・今回はこのようなことについてご紹介していきたいと思います。

相続人とは

相続人とは、遺産を相続する人のことであったり、遺産を相続する権利を有する人のことであったり、2通りの意味が含まれています。
つまり実際に遺産を相続する人のことも相続人であると言えますし、遺産を相続する権利は有していても、最終的に遺産を相続しない人のことも相続人であると言えるからです。

この場合に遺産を相続する権利を有する人のことを包括的な呼称としての相続人と区別してとくに法定相続人と呼ばれています。
すなわち法定相続人とは、実際に遺産を相続するか、相続放棄をするのかは別として、少なくとも相続する権利のある者として民法で定められている人のことであり、遺産分割協議に参加しなければならない人のことを言います。

ちなみに法定相続人のうち1人でも欠けた遺産分割協議は協議自体が成立していないのです。
なぜなら遺産分割協議がまとまれば遺産分割協議書や相談手続きの書類に法定相続人全員が住所・氏名を記載し実印を押印しなければならないからです。
もし法定相続人が1人でも欠けて署名押印がなければ、その遺産分割協議書や相続関係書類は有効ではないので、遺産相続手続きを完了させることができません。

ただし家庭裁判所にて相続放棄の手続きをした法定相続人については、相続放棄申述受理証明書を添付するという流れになります。
相続開始後速やかに誰が法定相続人になるのかについて調査するのですが、この調査が正確でなければその後の相続関係書類も不備となりますので、相続に関する法律知識も十分備えて最も注意して行う作業であると言えます。
そのため戸籍謄本等から法定相続人の範囲をしっかりと把握しておくことが必要なのです。

2、相続人の順位・代襲相続について

法定相続人の順位

法定相続人には、第一順位から第三順位までの順位があります。
なお被相続人の配偶者については、順位というものがなく常に相続人になります。
ただし被相続人が死亡した時に婚姻していることが前提条件になりますので、被相続人が死亡した1日前に離婚している場合には法定相続人にはなりません。

第一順位の相続人がいる場合には、第二順位・第三順位の者は相続人にはなりません。

第一順位の法定相続人

第一順位の法定相続人は、被相続人の子全員のことです。実子のみならず養子も同じ子にはなりますし、嫡出子であっても非嫡出子であっても被相続人の子であれば、第一順位の法定相続人です。ただし被相続人の子がその子を作って被相続人より先に死亡するなどにより相続権を失っている場合には孫が代わって法定相続人になり、さらに被相続人の子が被相続人より先に死亡するなどにより相続権を失い、孫も同意であるときは曾孫が法定相続人になります。これを代襲相続と言います。

第二順位の法定相続人

第二順位の法定相続人は、被相続人の子・孫・曾孫も全然いない場合においてのみ、被相続人の父母・祖父母などが親等の近い順に生きている限り法定相続人になります。

第三順位の法定相続人

第三順位の法定相続人は、被相続人の子・孫・曾孫・父母・祖父母も全然いない場合にのみ、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になります。
兄弟姉妹も被相続人より先に死亡するなど相続権を失っている場合には被相続人の甥姪が代襲相続としての法定相続人になります。
ここで注意しなければならないのは、兄弟姉妹の代襲相続については、甥姪のさらに子・孫・曾孫は法定相続人にならないことです。
つまり被相続人が死亡した後にその法定相続人のうちで、死亡するなどにより相続権を失っている場合においては、法定相続人の順位としては、被相続人の甥姪が最後になります。

代襲相続とは

代襲相続とは推定相続人である被相続人の子または兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡・廃除・相続欠格によって相続権を失ったときに、その者の子がその者に代わって相続することです。
代襲相続人が相続開始以前に同様に相続権を失っている場合には代襲相続人の子がさらにこれを代襲して相続することになります。
ただ兄弟姉妹の代襲相続権はその子(被相続人の甥姪)の1代に限られます。
直系卑属が有する相続に対する期待を保護するため、公平の観点から設けられた制度です。
代襲者は被相続人の直系卑属でありますが、被代襲者が相続権を失った時点で存在している必要はなく、相続開始時点で存在していればよいのです。
相続分は被代襲者が受けるべきであったものと同じです。
しかしながら相続放棄は代襲原因ではありませんので、相続放棄した者の子は代襲相続放することはできません。

3、相続人の権利がなくなるケース(相続欠格・廃除について) ⑴民法891条に規定する相続欠格事由に該当する者は法律上当然に相続する権利がなくなり、相続人になることができません。相続欠格となる事由は次の通り5つあります。 ①故意に被相続人または同順位以上の相続人を死亡または死亡させようとしたため刑に処せられた者。殺人の故意が認められない傷害致死の場合は該当しません。介護が必要な 被相続人に食物を与えないなどの遺棄罪も含まれます。 ②被相続人が殺害されたことを知ってこれを告発せず、または告訴しなかった者。ここでは告訴のできない小さな子供である場合や殺害者が配偶者・直系血族である場合は除かれます。 ③詐欺または強迫によって被相続人が相続に関する遺言をし。取消し、撤回、変更することを妨げた者 ④詐欺または強迫によって被相続人の相続に関する遺言をさせ、取消しをさせ、撤回させ、変更させた者 ⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または専ら自己の利益を図るために隠匿した者 ⑵相続欠格に該当するほどではないとしても、被相続人を虐待したり、極度の屈辱を与えたり、被相続人の財産を不当に処分したり、ギャンブルなどを繰り返して被相続人に多額の借金を支払わせたり、浪費・遊興・犯罪・反社会的団体への加入・異性問題を繰り返すなどの親不孝行為をしたり。重大な犯罪により5年以上の懲役判決を受けたり、不貞行為を繰り返す配偶者であったり、財産を目当てとした婚姻関係・養子縁組をする相続人に対してその相続権をはく奪させることができる制度のことを「廃除」と言います。この廃除は遺留分を有する推定相続人のみが対象になります。したがって遺留分を認められていない兄弟姉妹に対して廃除をすることはできません。兄弟姉妹に財産を残したくない場合には、遺言書を作成してそのことを記載します。 ⑶生前における廃除手続き 生前に被相続人が推定相続人の廃除をする場合は、家庭裁判所に「廃除請求」を行います。その後調停・審判によってその推定相続人を廃除するか否かが決定されることになります。 ⑷遺言による廃除 被相続人は遺言によって推定相続人を廃除することはできます。この場合には、遺言執行者が、その遺言の効力発生後遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。この場合においては、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生じます。したがって遺言によって推定相続人を廃除する場合においては、遺言で遺言執行者をも定めておかなければなりません。 ⑸相続欠格や廃除をされた場合において、相続欠格者・被廃除者の子がいるときはその子が代襲相続することになります。また相続欠格は特定の被相続人との間で生じるもので、別の被相続人の相続まで欠格になるわけではありません。たとえば父親の相続の際に相続欠格になったとしても、後の母親の相続の際にまで引き継がれるわけではありません。さらに相続開始後に相続欠格事由が生じ相続欠格者が出た場合、それまでの相続手続きは相続開始時までさかのぼってやり直すことになります。 4、相続人の順位と法定相続分(民法900条) ⑴第一順位の法定相続人(子をはじめ直系卑属)    配  偶  者       2分の1                  2分の1  ⑵第二順位の法定相続人(父母をはじめ直系尊属)   配  偶  者       3分の1                  3分の2 ⑶第三順位の法定相続人(兄弟姉妹または甥姪)    配  偶  者       4分の1                  4分の3 配偶者がいない各相続順位の法定相続人にすべて相続されます。また同じ相続順位の複数の法定相続人がいる場合には均等になります。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。 5、遺産相続において養子はどのように扱われるのか ⑴民法809条に「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得する」と規定されています。つまり養子は養子縁組の手続きを行った日から法的に実子と同等の身分を取得することになります。したがって相続が開始した場合において、養子は実子と同じ扱いとなることから、養子も相続する権利を有し、同じ割合の遺産に関する権利義務を承継することになります。 ⑵民法上は、養子縁組の手続きをして養子となれば、それが何人」いようとも相続人になるのですが、相続税法においては節税目的で養子の数を意図的に増やす行為を防止するために養子の数に制限を設け、相続税額の計算に当たっては、「実子がいる場合は養子1人、実子がいない場合は養子2人まで」法定相続人の数に含めることができます。この扱いはあくまでも相続税額の計算に限られるので、民法上は関係ありません、 ⑶養子の子が代襲相続するためには養子縁組の手続きをした後に生まれた子でなければなりません。したがって養子縁組の手続きをする以前に生まれた子は相続する権利がありませんので、代襲相続することもできないことに注意が必要です。 ⑷養子には普通養子と特別養子の2種類があり各々遺産相続における扱いが異なります。 ①普通養子では血縁関係にある実親との親子関係が存続したまま、養親とも養子縁組を行い新たな親子関係を作ることになります。すなわち普通養子においては、実親・養親双方との間に「2つの親子関係」が発生するので、両方の親の相続人になることができます。結婚する際に配偶者の親と普通養子縁組をもしておけば、配偶者の親が死亡した場合に相続人の1人として親の遺産に関する権利義務を承継することになります。 ②特別養子は実親との親子関係を断ち切ってしまい、養親のみとの親子関係をスタートさせます。普通養子と異なり実親との親子関係が消滅してしまうため実親が死亡してもその遺産を相続することはできません。 ③特別養子縁組は児童福祉のために設けられた養子縁組の制度で、養親と養子の親子関係を重要視している関係上戸籍には養親の実子と記載されます。特別養子縁組の養親になるには、婚姻している夫婦でなければならないし、夫婦共同による養子縁組でなければなりません。それに加えて実親(父母)の同意が必要です。特別養子になることができる年齢は 「家庭裁判所に申し立てを行う時点で6歳未満であること」が要件となっており、養親になることができる年齢要件は「一方が25歳以上でもう一方が20歳以上」であることとされています。